陰陽説

陰陽(いんよう・おんよう・おんみょう)とは、中国思想に端を発し、森羅万象宇宙のありとあらゆる事物をさまざまな観点から陰(いん)と陽(よう)の二つのカテゴリに分類する思想。

陰と陽とは互いに対立する属性を持った二つのであり、万物の生成消滅と言った変化はこの二気によって起こるとされる。
例えば「男」「女」、「光」「闇」、「昼」「夜」、「動物」「植物」など。

十干の場合は「兄(え)」「弟(と)」がこれに当てはまる。
ちなみに「干支」が「えと」と呼ばれる理由はこの「兄弟」を「えと」と呼ぶからである。

白黒の勾玉を組み合わせたような意匠となっており、中国ではこれを魚の形に見立て、陰陽魚と呼んでいる。
黒色は陰を表し右側で下降する気を意味し、白色は陽を表し左側で上昇する気を意味する。

魚尾から魚頭に向かって領域が広がっていくのは、それぞれの気が生まれ、徐々に盛んになっていく様子を表し、やがて陰は陽を飲み込もうとし、陽は陰を飲み込もうとする。

陰が極まれば、陽に変じ、陽が極まれば陰に変ず。
陰の中央にある魚眼のような白色の点は陰中の陽を示し、いくら陰が強くなっても陰の中に陽があり、後に陽に転じることを表す。

陽の中央の点は同じように陽中の陰を示し、いくら陽が強くなっても陽の中に陰があり、後に陰に転じる。
太極図は、これを永遠に繰り返すことを表している。

朝廷はこの陰陽道の中で、民心を安定させるのに都合のいい部分だけを各地の神社へ広め、それ以外の重要な部分は国家的秘術として朝廷内の陰陽寮内で秘匿したと推察できる。

しかも、中国の風水の目的が仙人になることだったのに対し、日本の風水の目的は怨霊から身を守ることへと変質していった。

この五行説と陰陽説が戦国時代に結びつき、「陰陽五行説」と呼ばれた。
この陰陽五行説が日本で独自に発展したものが陰陽道と呼ばれ、これに携わる人を「陰陽師」と呼ぶ。