「地理」と「気」の理論構成の内、「地理」すなわち「風水地理」は、仙道五術の④易学と⑤環境学からなる学術である。
統計・データによって見出された環境から、将来を見通す学問となる。
仙道五術
仙道五術とは、仙人になる為の修行の内容で下記の五つがある。
①山:山で修行するための体術・呼吸法、瞑想などの精神統一法
②医:怪我した時の鍼灸学、漢方・薬草学と医学及び引導
③命:自分の資質・宿命を知るための運命学
④卜:将来を見通すための吉凶の易学
⑤相:修行の場所の選定をするための蓄積された統計・データによる環境学
風水学として、良し悪しを判断する未来を見通すマニュアルを確立させるため、地勢(山の形、水の流れなど)を、年月日・季節・方位に置き換えるようにし(時間と空間ミックスさせる)、判定の基準を作り出した。
その方位を見るために、陰陽五行・八卦・十干十二支などが作り出される。
十干十二支(じっかんじゅうにし)
十干(じっかん)
十干(じっかん)はその名の通り10種類の要素から成り立っている。
甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸
五行思想にある相克関連に出る「木・火・土・金・水」
『登記簿謄本』では「甲区」(こうく)、「乙区」(おつく)と音読み。
『鬼滅の刃』の階級では「きのえ、きのと・・・」と訓読み。
十干 | 音読み | 訓読み | 意味 |
甲 | こう | きのえ | 木の兄 |
乙 | おつ | きのと | 木の弟 |
丙 | へい | ひのえ | 火の兄 |
丁 | てい | ひのと | 火の弟 |
戊 | ぼ | つちのえ | 土の兄 |
己 | き | つちのと | 土の弟 |
庚 | こう | かのえ | 金の兄 |
辛 | しん | かのと | 金の弟 |
壬 | じん | みずのえ | 水の兄 |
癸 | き | みずのと | 水の弟 |
十二支(じゅうにし)
子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥の12種類の動物によって構成。
木星が12年で天を一周することから、中国の天文学で天を12分したことによる。
干支(えと)=十干(じっかん)×十二支(じゅうにし)
干支は十干と十二支を組み合わせたもの
十干の10進法と十二支の12進法の最小公倍数の60年で一巡する。
干支が一巡し起算点となった年の干支に再び戻ることを「還暦」という。
古方位
干支は、年、月、日、時間、方位などを示すためにも使われ、それらの吉凶を表わすようになった。
例えば、方位は北から東回り(時計回り)に子、丑、寅…と12等分する。
それでは北東、東南、南西、西北が表現できないため、中国では易の八卦(はっけ)に基づいた坎(かん)、艮(ごん)、震(しん)、巽(そん)、離(り)、坤(こん)、兌(だ)、乾(けん)を 用いて表現した。
日本では、北東(艮)は十二方位の丑と寅の中間なので丑寅(うしとら)、同じように、東南(巽)は辰巳(たつみ)、南西(坤)は未申(ひつじさる)、西北(乾)は 戌亥(いぬい)とも呼んだ。
そして、陰陽家は方位神(ほういじん)と呼ばれる方位の吉凶を司る神を祭り、例えば、今年はこの方向に嫁にいってはいけないなどと、暦上に記した。
方位神は現在でも一部の暦や占いなどで使用される。